2千年余の昔に生まれた戸隠信仰。
戸隠神社には、「天岩戸開き神話」の地として、
ゆかりの神々が祀られているほか、
地主神として水と豊作大神の九頭龍大神が
祀られています。
つまりすべての生き物にとって
欠かすことのできない「水」が
戸隠信仰の始まりです。
戸隠信仰は修験道とも習合し、
中世から近世まで全国から
多くの人が参詣するようになり、
「戸隠講」が広がりました。
江戸時代には
参詣者を宿泊させるための宿坊が構えられ、
その外側に農民や職人等の屋敷が拡がり、
門前町が形成されています。
戸隠講には多くの農家がおり、
春には戸隠を参詣し水を持ち帰り、
自分の田畑にその水をまいて豊作を願い、
秋には収獲した作物を戸隠に納めていました。
戸隠には今も多くの宿坊が存在し、
戸隠神社とともに、
自然信仰の精神を脈々と継いでいます。
戸隠地区は、新潟県と長野県にまたがる
国立公園「妙高戸隠連山国立公園」の一部です。
標高1,911mの霊山・戸隠山は、
かつて海底が隆起してできた急峻な山岳であり、
その荘厳な姿からは、自然の美しさと
厳しさが感じられます。
山麓の高原は、野鳥や蝶、
高山植物の宝庫であり、
多くの登山者を惹きつけています。
戸隠は、全国的にも有名なそば処。
地元でとれた薫り高いそば粉と、
山が生む美しい水、
そして職人の技術があわさり、
引き締まった質の高い戸隠そばが生まれます。
そばの収穫は、夏と秋の2回。
秋に採れたそばを「新そば」と呼び、
10月下旬、戸隠神社への新そば献納祭を経て、
味わうことができます。
戸隠特産の根曲り竹でつくる、竹細工。
その技術は、江戸時代の初め頃から
地域の人たちの生活の中に生まれ、
雪に覆われた戸隠の冬の手仕事として、
代々継承されてきました。
ベテランの職人が時間をかけて編み上げた
竹細工は、とても繊細で美しく丈夫で、
日常を少し豊かにしてくれます。